スタートアップ転職はVCに相談しよう~自分らしく働くスタートアップの見極め方~

  • 「スタートアップへの転職に興味はがあるが、一歩が踏み出せない」
    「自分にあったスタートアップはどのように探せばいいのかわからない」
  • スタートアップへの転職に関心があるものの、このように不安に感じる人も多いのではないでしょうか。

    革新的なアイデアで新しい価値を創造するスタートアップで働くことはとても魅力的です。一方で、スタートアップといえども事業ステージや業種などは様々で、自分に合ったスタートアップを見極めることが重要です。

    そこで今回は、ベンチャーキャピタルで出資先の採用支援を行う、リアルテックファンド、WiL、ユニバーサル マテリアルズ インキュベーター、そしてBeyond Next Ventures のHRプロフェッショナルが集結し、スタートアップ転職をVCに相談するメリットなどについてお話しました。

    登壇者

    池田真実

    リアルテックホールディングス株式会社

    池田真実

    海外にてShared Service Centreの立ち上げ。経営企画としてBPOマネジメント、採用・育成・評価等を牽引し2年で100人規模へ。帰国後Startupにて人事の立ち上げに従事。前職でマザーズ(現グロース)市場へ上場。現在はリアルテックファンドにて投資先Value UpのためPeople分野にて支援。

    佐藤友美

    株式会社TBA(株式会社WiLの100%小会社) HR Director

    佐藤友美

    04年リクルート創業者の江副浩正が経営する(株)スペースデザイン入社。江副氏から仕事の直伝を受け育つ。その後バイオベンチャーに参画し東京支社立ち上げ、営業/商品開発/PRなどBizdiv全般携わり2年後マザーズ上場。07年友人とアパレルブランドを起業。出産を機に約10年間は専業主婦。18年リクルートHD(RGF)へエグゼクティブヘッドハンターとして入社。個人の活躍と企業成長の両面に貢献し日本の産業社会の活性化に寄与したく22年WiLの人材支援チームTBAへ参画。

    羽鳥綾

    ユニバーサルマテリアルズインキュベーター株式会社

    羽鳥綾

    複数の事業会社で人事経験(採用・教育・人事制度)を積んだ後、2020年3月からUMIに参画する。自社の人事業務と投資先のマネジメント採用を中心としたハンズオン支援における人的課題を網羅的に支援する。

    モデレーター

    三國弘樹

    Beyond Next Ventures株式会社 投資部企画推進チーム マネージャー

    三國弘樹

    2012年4月 JAC Recruitmentに入社。 エグゼクティブ部門にてベンチャーキャピタルの投資先の経営幹部の採用に関わる。
    2020年にBeyond Next Venturesに参画し、出資先スタートアップの採用支援をはじめとする組織成長支援を担当。

    スタートアップ転職をVCに相談するメリット


    三國:私たちのようなベンチャーキャピタル(VC)では、出資先スタートアップの人材採用や組織成長などのHRにかかわる支援を行っています。具体的なHR支援の内容はこちらの記事でも説明しています。今回は、「なぜVCにキャリア相談をしたほうが良いのか」を皆さんに聞いていきたいと思います。

    羽鳥:UMIでは、株主として経営支援の一環としてHR支援を行っています。UMIの場合、出資先のHR支援をする際に、まずは私たちのほうで最初に候補者の面談を行い、その後出資先にお繋ぎするというケースが多いです。まず私たちが出資先の情報を良い面も悪い面も含めて客観的にお伝えします。その後に出資先のスタートアップのメンバーと面会するという流れです。株主という第三者視点から、出資先の情報が聞けるというのは候補者にとっては良いのではないかと思います。

    佐藤:VCは出資先の事業成長を一番に求めており、「何人採用しなければならない」といったKPIがあるのではなく、出資先にも候補者にとってもお互いにとってハッピーになることを目指しています。個人の成長と企業の成長の両方を考えたときに、どの候補者が一番マッチするかという視点でみているので、VCのHR担当者とキャリアの壁打ちをするだけでも意味を感じてもらえると思います。また、出資先においては、業種もさまざまで企業のカラーも千差万別なので、我々にコンタクトをしていただくと幅広い選択肢からキャリアを考えていただけるのではないかと思います。

    池田:リアルテックに相談していただくと、例えば出資先のA社を受けにきた候補者に対して、その方のバックグラウンドを聞いたり壁打ちをしながら方向性を一緒に探っていくので、その結果、出資先のB社に当てはまりそうだなと感じたときはB社を紹介するということもあります。私たちVCが支援する場合では職種や案件ありきではないので、広がりがあるかもしれませんね。

    三國:リアルテックファンドと私たちに当てはまると思いますが、シード期のスタートアップの出資先には、まず自分たちでリファラル採用しましょう、ということを推奨しています。しかしながら、創業メンバーのネットワークが限定的なケースが多いため、実際には私たちVCがそれぞれのネットワークを通じて出資先に直接紹介するというケースが多かったりします。よって、私たちに相談いただくと、スタートアップの初期のまだ何も整っていないステージでこれから会社として作り上げていくステージにも入りやすいと思います。

    また、例えば、正社員ではなく業務委託でスタートアップと関わるという方法もあります。これは最近一般的になってきたかと思いますが、初期ステージのスタートアップは報酬水準が高くないので、まずは業務委託で参加するというものです。出資先に候補者を紹介して紹介フィーを取るわけではないので、副業も含めた柔軟な働き方を求職者に提案することもできます。

    池田:VCの場合は候補者が出資先に入社した後にも継続した接点がありますね。私たちはその方の性格もわかっているので、なにか困難に直面したときにも一緒に突破する方法を考えたりもできます。

    三國:実際に、私たちもCFOや管理部門で入社された方と、採用や組織関係の業務を一緒に相談して進めるケースもありますね。Beyond Next Venturesの出資先の一つにKOALA Techという九州大学発レーザースタートアップがありますが、そのCFOの伊藤さんは前職での縁もあり、個人的なつながりがあったので、今回KOALA Techへの紹介に繋がりました。

    KOALA Tech伊藤さんのスタートアップに転職ストーリーはこちら:
    20年以上の大企業キャリアを経て大学発ベンチャーのCFOに挑戦する理由

    佐藤:出資先でCFOとして働いていた方が、一旦その企業での業務が終了して、当社の別の出資先でまた新たにCFOとして働いていただくといったケースも複数ありました。私たちはVCとしてそのCFOの方の働き方や強みなども理解しており、さらに培った信頼関係があるので、次に別の出資先で同じような機会があったら安心してお願いすることがあります。そのような経験の積み重ねはご本人のトラックレコードにもなると思います。

    三國:お互いに理解しているというのは大きいですね。私たちも、Exitした出資先の管理部門で働いていた方が、現在はいま出資している出資先スタートアップに転職されたというケースがあります。ご本人もキャリアを積んでいけるし、我々も知っているので安心感はありますね。

    それぞれのVCが語る、出資先の魅力とは?

    三國:続いては、それぞれのVCの支援担当者が感じる出資先の魅力について教えてもらえますか。

    池田:リアルテックの投資の意思決定では、世の中にたくさんの社会課題がある中で、出資先のサービスやプロダクトがどのような課題を解決するものなのか、それは他にはないのかという点を見ています。よって当社の出資先は技術が唯一無二なので、どのような社会課題を解決しようとしているかという点をぜひ見ていただきたいと思います。それに加えて、そのスタートアップの経営者や研究者が信頼できるかどうかを判断しています。

    羽鳥:UMIの出資先はシリーズAやBが中心で、技術がオンリーワンかNo.1かをとても重要視しています。特にシリーズAでは、ビジネスモデルもまだ検討段階であったり、マーケットそのものも変化していく中で、ビジネスモデルの構築に携わることができるところが、とてもやりがいを感じるポイントではないかと思います。一方ですぐにはうまくはいかないので、臨機応変にやっていける人でないといくらスキルが高くても難しい場合もあるため、柔軟性やベンチャーマインドはとても大切だと思います。

    佐藤:WiLの出資先のポイントは、グローバルに成長していく可能性があるということと、出資先企業の経営陣が本当にリスペクトできる人ばかりということです。世の中には自己利益追求型の経営者もいる中で、WiLとしては、社会に貢献して未来に繋げていけるような人たちに投資したいという気持ちがあるので、本質的な投資をするようにしています。当社は日米に拠点を持ち、アメリカにいる投資チームがしっかりと利益を生み、日本のチームは日本が本質的に良くなるための投資ができるからです。

    三國:たしかにディープテックの分野では中長期的な視点で社会全体の利益を考える利他的な経営者が多いと思います。その理由を考えると、ディープテックの分野は成功までの道のりが比較的長いからではないかと思いました。医療や農業、宇宙などの様々な領域で、実現したいことのために頑張りたいという強い想いがディープテックの起業家にあると思います。

    ディープテックの分野だから特定のスキルが必要だとは思っていません。実際に出資先のCXOのバックグラウンドの傾向を見ると必ずしもその技術分野に知見がある方たちだけが集まっているのではなく、様々なバックグラウンドを活かしながら活躍されています

    最近は政府の支援なども充実してきているので、そこに経営者とともに推進していく人々が集まると、日本のディープテックの分野のスタートアップをもっと盛り上げていけるんじゃないかと思っています。ぜひ一緒に盛り上げていきましょう!

    スタートアップキャリアを応援します

    Beyond Next Venturesでは、ディープテックスタートアップの起業や経営に関心がある方とのカジュアル面談を実施しています。DTx(デジタル・セラピューティクス)や医療機器等の医療・ヘルスケア、創薬・バイオ、アグリ・フードテック、AI、宇宙など様々な領域におけるディープテックスタートアップのCXOポジションの紹介、また、経営者を目指す方に向けて、技術シーズをもつ研究者との共同創業を実践するプログラム「INNOVATION LEADERS PROGRAM」への参加推薦などを行っています。少しでもご興味のある方は、ぜひご連絡ください!

    Hiroki Mikuni

    Hiroki Mikuni

    Manager