採用は万能なツールではない!CxO採用で整理すべき3つのポイント

三國:こんにちは、Beyond Next Venturesで出資先のHR支援を担当している三國です。今回、中小機構のインキュベーション施設でスタートアップ支援を行う全国のインキュベーションマネージャーの皆様に、「VCのHR支援の取り組み CxO人材確保の現状と支援策」と題した講演を行いました。

BNVでは、ファイナンスや事業開発、広報・ブランディングなどのサポートを出資先向けに行っており、HR支援もその一つとして大きなウェイトを占めています。私は、BNVに参画する前は、人材紹介サービス企業のエグゼクティブ部門にて、ベンチャーキャピタルの投資先の経営幹部の採用に関わっていました。その時の経験も踏まえて、VCによるHR支援とは具体的にどのようなことを行うのか、そしてスタートアップからHR関連の相談がきた際に段階を踏んで整理すべきことなどについて、お話ししました。

VCにおける出資先スタートアップのHR支援

BNVのHR支援では、採用、労務、人材の定着、制度設計などの支援を主に行っています。いずれにおいても我々がずっと伴走をするのではなく、出資先が独立することを目的にしています。

HR支援は何をするか

2021年1月〜2022年11月末までの約2年間のうち、BNVの支援によって出資先スタートアップの採用が決定した総数は73件で、そのうちCxOの人材採用は2〜3割に該当します。出資先の人員計画に対して、要因計画を外部から提案するというのは難しく、特に研究開発部門においては要員計画から生産性を定量的に評価することはより一層困難です。

BNVの出資先であるディープテックスタートアップ(DTSU)とSaaSスタートアップを比較した場合に、DTSUの場合は、研究開発を何よりも優先し、いまある事業でキャッシュを稼ぎながら事業を進めていくため、IPO前まではビジネスサイドや管理部門の人材は少数精鋭である場合が多いです。一方で、SaaSは、エンジニアやカスタマーサポート、セールスなど、事業を拡大させるためにビジネスサイドの人材を拡充するケースが多く見受けられます。このように、スタートアップといえども人員体制を一括りにはできません。

採用活動を進める前の3つのステップ

次に、スタートアップからCxOの採用に関して相談があった場合の対応方法について説明します。まず重要なことは、相談があったからと言ってすぐに採用活動支援を行うのではなく、3つのステップ「①相談、②探索、③決定」に沿って整理をすることです。

例えば、スタートアップからCxOの採用に関する相談が50件あったとします。それら全てを突き詰めていくと、この50件全てにおいて採用を進めることが本当の課題の解決ではありません。採用は万能なツールと思いがちですが、まずは「現在の課題が新たな人材の採用によって解決できるのか」を見極める必要があります。

①相談フェーズ

「採用は万能なツールではない」という認識のもと、(1)本当に採用をする必要があるのか(2)新たなCxOに何を求めるのか(3)事業計画に沿った組織体系、この3点を整理します。現在の経営陣の役割を明確にし、タスクベースで洗い出すことがポイントです。現在の課題が採用で解決できるかどうか見極めをするためには、経営陣のこだわりがどこにあるのか、何をやりたくて起業したのか、というアプローチから始まり、経営陣がやりたいこととそれに伴う組織づくりを整理していきます。

CXO採用 相談

②探索フェーズ

いきなり採用したい人物を探索するのではなく、採用したい人物のペルソナ=人物像の詳細を決めます。例えば、採用したい人物の年齢、学歴、職歴、経験、スキル、資質、希望年収や趣味、価値観、パーソナリティ、仕事で重要視したいこと、などです。そして次のステップとして、そのターゲットを採用するためにどうしたらいいのか、情報発信や採用手法などの具体的なアクションを考えます。自社の採用サイトの充実や、外部の採用手法としては、スカウト型サイトやエージェントの活用があります。また、株主(VC)からの紹介もあります。BNVでも、他のVCと組んで、出資先の採用を強化するイベントを実施したりもしています。

CXO採用 探索

③採用決定フェーズ

具体的な選考プロセスを決め、選考をスタートします。見極めをする一つの施策として、例えば、候補者とNDAを締結して事業計画を書いてもらい議論をする方法もあります。また、選考では面接をする側のトレーニングも必要です。さらに食事会などリラックスして話せる場を設けて、候補者の本音を聞き出すことも有効です。最終的に内定を出すときには、評価したポイントを具体的に伝えるといいでしょう。もし、内定辞退になった場合には、どの部分を変えるべきなのか採用プロセスを振り返る必要があります。

CXO採用 決定

最後に

採用をすれば課題が解決されると思いがちですが、まず最初に課題の整理や、自社の将来像に合わせた組織づくりの計画を立てるなど、採用活動を始める前にやらなければならないことがたくさんあります。それらを整理してから、採用活動に着手するということを、スタートアップも、スタートアップの採用をサポートするみなさんも心に留めておいてほしいと思います。

Hiroki Mikuni

Hiroki Mikuni

Manager