【メンバー紹介】Karthik Varada「インド・日本でインパクト投資の成功事例を増やしたい」

(※英語を翻訳してお届けしています。英文の元記事はこちら

初めまして。2022年9月にBeyond Next Venturesにベンチャーキャピタリストとして入社したKarthikです。BNV入社以前は、アカデミア研究者として、投資家として、インパクト投資に関わってきました。今回は、私がインドから日本に来た経緯、インパクト投資との出会い、そして、キャピタリストとして目指していることをお話したいと思います!

プロフィール

Karthik VaradaVenture Capitalist

インド工科大学ハイデラバード校で工学の学士号を取得後、東京大学の修士課程でインパクト投資、博士課程でESG投資を研究。その後ESG/気候変動技術投資の博士研究員として活動。また、男女共同参画を推進する地域初かつ最大のインパクト投資ファンドの1つ、笹川平和財団のアジア女性インパクト基金の創設メンバーとして、アジア各国のVCやスタートアップに対し、投資分析や社会的インパクトの評価に関するアドバイスも行う。2022年9月に当社参画。インド投資グループのメンバーとして、インドスタートアップの新規投資、既存投資先の支援・インパクトの可視化、日印連携に従事。

インド工科大学から、日本へ


インド工科大学(IIT)ハイデラバード校の学部課程を修了した私は、工学以外のテーマで自分の世界観を広げたいと強く思うようになりました。たまたまIITで開催された「Japan Day」という日本の大学や企業が集まる就職イベントに参加した時、東京大学のブースで、「テクノロジー、マネジメント、イノベーション」を同時に学べる専攻があることを知りました。しかも、奨学金をもらえば無料で学べるというのです。これは、私にとって絶好のチャンスだと思い、このプログラムに応募して、全額奨学金での合格をいただき、来日しました。それ以来、約8年間日本で暮らしています。

「インパクト投資」の可能性に魅了され、研究者へ

東京大学で学ぶ中で、私は、テクノロジー、起業家精神、ビジネスの力が適切な方法で活用されれば、大きな社会課題を解決して世界を前進させることができると確信しました。


特に気候変動やヘルスケア分野ではその傾向が強く、社会にポジティブなインパクトを生み出しながら、投資家に大きなリターンをもたらすことができるディープテック・スタートアップに魅了されていきました。そして、社会的なインパクトを生み出すスタートアップを支援し、経済的なリターンを得るという「インパクト投資」という概念に出会いました。当時、日本ではまだ珍しい取り組みでしたが、調べれば調べるほど、「インパクト投資は大きな社会的課題を解決するための強力なメカニズムだ」と確信し、生涯を通じてこの分野に関わりたい!と強く思うようになりました。

そこで、もっと深く掘り下げるために、東京大学大学院の修士・博士課程でインパクト投資とESG投資について研究しました。博士号取得後は、博士研究員として気候変動分野の投資に関する調査も行いました。

研究と実務を融合させる

博士号取得と並行して、投資家としての実務経験も積んできました。笹川平和財団では、ジェンダー・ダイバーシティに焦点を当てたインパクト投資ファンド「アジア女性インパクトファンド」を立ち上げるコアチームの一員でした。途上国へのインパクト投資を行うARUNでは、インドの酪農技術系スタートアップへの投資を手伝いました。また、ESG重視型ベンチャーキャピタルであるMPower Partnersでは、インドネシアのフィンテックスタートアップのデューデリジェンスを行い、アドバイスをしたこともあります。

研究者 兼 実務家としてインパクト投資を探求する中で、私は、インパクト投資が社会的リターンと財務的リターンの両方を生み出すことができるというエビデンスをもっと確立させるべきだと感じました。

このエビデンスは、大きな社会課題に対する革新的な解決策を見出し、それを強固なビジネスモデルと実行力でスケールアップすることができる、勇敢な起業家を支援することによってのみ生み出されるものです。私は、投資家として、そのようなエビデンスづくりに積極的に参加することにしました。

また、社会的課題の解決には、民間資本が重要な役割を果たすと信じています。インドで生まれた私は、公共サービスだけでは急成長する国のニーズに追いつけないことを実感しています。民間企業が社会のために積極的な役割を果たさなければ、進歩は何十年も遅れてしまうでしょう。同じことは、気候変動などグローバルな課題についても言えます。

ディープテックの研究者、起業家、投資家が一丸となれば、ポジティブなインパクトを生み出し、より速いスピードで社会をより良く変えていくことができるのです。

目標はインパクト投資のフレームワークをつくること


ビヨンドへの入社は、代表・マネージング・パートナーの伊藤から声をかけてもらったことがきっかけです。私は、彼やチームの他の人たちとの会話を通じて、ディープテックが社会と環境に与えるポジティブなインパクトについて確信を深めました。私たちの目標は一致しており、これが入社につながったのです。

いまは東京に拠点を置きながら、インドスタートアップの新規投資・既存投資先の成長支援に携わっています。起業家マインド溢れるインド人起業家と毎日対話する中で、多くの刺激や気づきをもらっています。

中長期的な目標は、インパクト投資の成功フレームワークを作ることです。何千人もの起業家に会い、そのうちの何人かと密接に協力することで、インパクト投資で成功するための要素を見つけられるのではないかと考えています。成功事例とこのフレームワークがあれば、金融機関や事業会社もインパクト投資により多くの資金を投じることができるようになるでしょう。

日本のスタートアップ・大企業のインド進出も後押ししたい


日本に住むインド人の中でも、日本の大学でインパクト投資を研究したベンチャーキャピタリストはまだ珍しい存在だと思っています。日印連携強化のためにできることはまだ沢山あるので、私が日印の架け橋になるのも重要な役目と感じています。

今、インドは急速に成長しています。市場もビジネスチャンスも大きい。一方で、多くの課題があります。貧困対策、経済の工業化、気候変動への対応など、さまざまな課題に取り組んでいかなければなりません。これらの課題解決には、日本の先端的な研究が活躍すると信じています。ですから、私は、日本の研究シーズとインドの経営人材とのビジネスコラボレーションを推進したいと考えています。また、インドに進出したい日本のスタートアップや、その逆も支援していきたいと考えています。

BNVは、2020年にインドのベンガルールに子会社を設立しました。すでに15社ほどのスタートアップに投資しており、今後も現地でのネットワークと投資活動を拡大していく予定なので、会社のリソースをフル活用して日印間の経済発展に貢献していきます。

もし、ここで紹介したこと以外でも、話したいことがあれば、ぜひご連絡ください。食事やコーヒーを飲みながら、ぜひ話をしましょう。私はまだ日本語をうまく話せませんが、日本の文化をよく理解しているので、あなたのインド進出の計画などよければお聞かせください。

Karthik Varada

Karthik Varada

Venture Capitalist