【社員紹介】佐野 悠一郎「世界と日本をつなぐグローバル投資家への挑戦」

Wellthy TherapeuticsのCEO Abhishekと

こんにちは、Beyond Next Venturesでインドスタートアップへの投資をリードしている佐野です。サッカー好きが高じてスポーツビジネスを学びに米国へ留学したことをきっかけに、世界の人たちと働くことに興味を持ち、国際協力銀行・国際協力機構にて約15年間インドやアフリカなどの開発途上国向けの仕事に従事してきました。BNVには2021年に入社し、世界規模の社会課題に向き合うインドのスタートアップ起業家と共に活動しています。

今回は、これからご一緒するかもしれない起業家や企業の方々に向けて、私の自己紹介をさせていただきます!

プロフィール

佐野 悠一郎Venture Capitalist

国際協力銀行・国際協力機構にて約15年間、一貫して開発途上国での事業に取り組む。インドに3年間駐在。民間事業向けにDebtからEquityまで様々な金融商品を提供。スタートアップ向け投資プログラムも立ち上げ。出資先は五常・アンド・カンパニー、WASSHAなど。 2021年に当社参画。インド投資チームのリーダーとして、インドスタートアップの新規投資、投資先支援を牽引。主にヘルスケア領域をカバー。国内外で当社のインパクト投資活動にも従事。早稲田大学政治経済学部卒業。ハーバード大学公共政策学修士。好きなインド料理はビンディマサラとマサラドーサ。

留学時代に出会った「新興国の魅力」

大学生のときアメリカへ留学していて、当時一緒にサッカーをやっていたアフリカのチームメンバーから聞く話がどれも衝撃的で、面白くて。留学を終えた後には、もっと開発途上国について知りたいと思い、1年留年してルワンダ支援に取り組むNGOへの参加も経験し、新卒で国際協力銀行(JBIC)(のちに国際協力機構(JICA))に就職しました。

JICAでは、電力や交通など開発途上国のインフラ整備の支援に多く携わりました。インドでは全国の地下鉄プロジェクトを推進したり、ウガンダでは電力不足を補うため、アフリカ開発銀行と協調して発電事業の融資を行なったり。まさに国づくりの根幹を支える役割の一員として、さまざまな国で仕事をしてきました。

JICAインド駐在時代

世界を変えるのはスタートアップだ!


きっかけは、WASSHAとの出会い

しかし、だんだんと課題も感じるようになりました。きっかけは、タンザニアで電力サービス事業を展開する日本のスタートアップ「WASSHA」との出会いでした。

WASSHAはタンザニアの未電化地域でLEDランタンのレンタル事業をしていました。特に地方部の電化は進んでおらず、発電設備や送配電網といったインフラ整備も不十分で、国や地方政府を通じた支援にも限界がありました。

そこで、WASSHAは日本のコンビニにあたるような地方の小売店に「太陽光充電式のLEDランタン」を置き、周辺住民にレンタルする事業を行っていました。

これで未電化地域に明かりが灯る」と可能性を感じた私は、WASSHAに出資をしてこの課題の解決を後押しすることを決意。JICAでは初めてとなるスタートアップへの出資を行いました。

木炭、薪、灯油ランプが主に使われていたタンザニアの未電化地域で、それよりも明るく、安全で、安価なLEDランタンが普及することにより、「夜も勉強や仕事ができるようになった」「暗い夜道も安全になった」といった声を聞くことができました。斬新なアイデアや技術により、新興国の問題をビジネスで解決できるというポテンシャルに触れる経験でした

スタートアップの力をもっと大きくしたい

BNV Team INDIA

グローバルイシューを解決するのは「公共投資だけでなく、スタートアップの力が必要ではないか」と考えるようになった私は、その後も民間版の世界銀行として世界中に金融アクセスを届けことを目指す「五常・アンド・カンパニー」にも出資させていただく経験を経て、よりスタートアップと近いところで仕事ができるベンチャーキャピタリストを志すようになりました。

Beyond Next Venturesに転職を決めたのは、インドに力を入れていたことと、スタートアップ出資を通じた社会課題の解決に取り組んでいたからです。代表の伊藤が「これからはインドだ」「インパクト投資だ」と言っているのを聞いて、ここしかないと思いました。

3年駐在したインド。日印の橋渡しに

JICAで3年間駐在していたインドは、自分を職業人として育ててくれた国でもあります。当時一緒に働いていたインド人の同僚からはたくさんのことを学び、インドの未来について多くを語り合いました。そのような仲間を志半ばで新型コロナ感染症で失ったことも、まだ自分がインドで仕事をしている理由の一つかもしれません。勝手にバトンを引き継いだような気持ちです。

駐在員時代を一言で表すとすれば、「日本とインドがウィン・ウィンな関係を築くこと」でした。例えば、地下鉄建設事業に融資する場合、日本側として日本製品の導入を期待する一方で、インド側として譲れない価格水準があったりします。最初は、価値観も商習慣も違うインドで、何度も挫折を経験しましたが、お互いの立場を理解・尊重しながら着地点を探ることを繰り返して、異文化間での交渉力が鍛えらたような気がします。

インドでは自分の主張をはっきり述べなければ何事も思うようにいきません。しかも相手は論理的に主張してくる、日本人的な感覚からすると「押しの強い」タイプばかりです。そこで私の役目は日本とインドの「橋渡し役」として、事業を前に進めることでした。この「橋渡し役」をBNVでも果たしたいと考えています。

数多くの海外経験をVCで活かす

インドは世界第3位のスタートアップ大国として躍進しています。これまでインドのスタートアップ14社に出資をしていますが、もっと増やしていく予定です。特に注目しているのは、クライメートテック、ヘルステック、デジタルインフラの領域で、テクノロジーとインパクトの接点にフォーカスし、経済的リターン(ファンドパフォーマンス)と社会的リターン(人類・社会の課題解決)を高い次元で実現することが目標です。

また、インドスタートアップへの出資のみならず、日本人として、日本のVCとして、日本からインドに進出する企業やスタートアップ、逆にインドから日本に進出するスタートアップをサポートすることで、日本とインドがウィン・ウィンになるような触媒として機能したいと思っています。

最近の事例では「Wellthy Therapeautics」があります。Wellthy Therapeauticsは、製薬会社や医療機器会社向けにデジタルヘルスプロダクトを開発する会社で、インド国外にも事業を展開しています。このスタートアップが日本への進出を検討しており、顧客開拓や事業会社とのパートナーシップの構築をお手伝いしています。

異文化同士のコミュニケーションは困難の連続ですが、「分かり合えた」という感動があるから続けられてきたのでしょう。今も昔も、世界とつながりたいという気持ちに変わりはありません。

いま世界全体を見渡せばさまざまな深刻な問題が山積しています。グローバルイシューを解決するために挑戦する起業家は沢山いらっしゃいます。私はそんな挑戦者を力強く後押しするキャピタリストを目指しています。

今はインドにフォーカスしているので、インドへの進出を検討しているスタートアップ起業家や日本企業の皆さんは、ぜひ気軽にご連絡ください!最後までお読みいただきありがとうございました。


最近はインドでの登壇機会も増えてきました!
Yuichiro Sano

Yuichiro Sano

Manager, Venture Capitalist