研究者が奮い立ち、社会実装を加速する挑戦の舞台「BRAVE」

研究成果の事業化推進プログラム「BRAVE」が誕生したきっかけ

伊藤:Beyond Next Venturesを2014年に創業して、その2年後の2016年からBRAVEを開始しました。大学には素晴らしい研究者・技術が沢山あるにもかかわらず、研究者に対して事業化のアドバイスを十分に行えない構造的な課題があります。そのために無理に会社を作ったり、ベンチャーキャピタルから資金を調達できないような体制、プランで起業してその後うまくいかないケース等をたくさん見てきて「非常にもったいない、何とかしたい!」と思ったのが、BRAVEを思いついた最初のきっかけです。

もう一つ、Beyond Next Venturesの当時のミッションで「チャレンジする人材を多数輩出する事により社会に貢献する」というのを掲げていて、「商業化やビジネスについてはよくわからないけど、実用化にチャレンジしたい」という研究者の方は沢山いたので、シンプルにそういう方たちを後押ししたい、という想いもありました。

津田:私は社会人インターンとして2017年からBRAVEの運営に関わり、今では統括している立場ですが、これまで200名以上の研究者が参加、卒業生の累計資金調達額は400億円、起業前の参加81チームのうち52チームが起業を実現するなど、研究成果の事業化支援という枠組みでは、それなりに実績が積み上がってきています。

    BRAVEとは:大学・研究機関で培われた研究成果の事業化を推進する約2ヶ月間のプログラム。書類選考/審査および経営人材候補とのマッチング/チーム組成を経て、事業化を目指す。締めくくりとなるDEMO DAYでは、資金調達などの機会を勝ち取るために投資家や事業会社に対しプレゼンを行う。https://beyondnextventures.com/jp/incubation/brave/

BRAVEの名づけ親はインターン生

伊藤:BRAVEという名前は、うちのインターン生第1号の学生と一緒に原案を作りました。BRAVE以外にも色々なアイデアが出ましたが、BRAVEというワードを聞いた時、「挑戦する人が奮い立つプログラムにしたい」というイメージに近く、決めました。ここ数年は、自分たちに対しても「BRAVE自体をより良いものにするために、勇気を出して我々も挑戦しよう」という意味合いを持たせています。

ちなみに、BRAVEそれぞれ5つの文字に意味があるんですよ。

B-reak new ground
R-evolutionize your idea
A-ccelerate technological progress
V-enture to be extraordinary
E-mpower your team

BRAVE最大の特長は、創業チームを作れるところ


伊藤:BRAVEでは、まず研究者に対して経営人材候補を数名マッチングし、仮の創業チームを組成するところからスタートします。ここがBRAVEの最大の特長かもしれません。というのも、事業化を目指す研究者や大学にとって一番の課題は今も経営者探しだからです。BNVには大学発ベンチャーの経営チームに特化したヘッドハンターが在籍していて、彼が自ら集めた経営人材候補者リストを保有しています。

その人材の方々は主に起業やスタートアップ経営をやりたい、かつ、ディープテックのような先端テックに興味があるビジネスパーソンで、CXOとして活躍できるようなキャリアバックグラウンドを持つ方も多くいらっしゃいます。

BRAVEでは、そのような実用化に向けて仲間を探す研究者と、起業テーマを探すビジネスパーソンが出会い、本気で短期間のスタートアップ起業に挑戦する機会を提供しています。

他人を巻き込み、起業を実践する


津田:よくある起業のイメージとして、互いに運命的な出会いを果たし、一緒にやろう!と意気投合してすぐ起業する、というのがあると思います。もちろんそのまま上手くいくケースもあると思うのですが、私たちとしては「相性を見極める」「(一方通行に知識を受けるのではなく)起業そのものを主体的に実践する」ことこそが、その後の持続的な事業の成長に向けて非常に大事なことだと考えています。

事業化を目指す研究者のなかには、自ら経営を担いたい方もいる一方で、「経営は誰かに任せて自分は研究開発に集中したい」という方も多くいらっしゃいます。それなのに、日々の研究活動の中ではビジネスパーソンに会う機会は少ない。反対に、ビジネスパーソンも研究者と出会う機会は多くないでしょう。

そうなると、やはり第一に「両者の出会いの場」がもっと必要であり、第二に、そこで出会った仲間と「とりあえず実践してみる」という経験が、今後の道を開くうえでとても重要な経験になると思うんです。

起業にリスクはつきものですが、人生経験としては面白いと思うので、少しでも検討している方はぜひチャレンジしてみてください。

BRAVEは「教える」プログラムではない

津田:BRAVEでは、あまり懇切丁寧に教えたりしません。知識的なものは、今は調べればすぐに答えが出てくる時代です。素晴らしい知見を一般公開している人もいっぱいいます。私たちはそういった知識的な詰めこみよりも、所謂サントリーさんが提唱するような「やってみなはれ」精神を重視しています。

起業して資金調達もして人も雇って事業を成功させていくというのは、とてつもないエネルギーがいること。私たちができることなんてそもそも限られているという前提で、せめてBRAVEに参加してくれた期間だけは、「どんな失敗があっても大丈夫なので、とことん挑戦してください。そしてここでの実践経験をこの先でも生かしてください」という想いで、運営しています。

伊藤:そうだね。自らチームを作って、人を巻き込んで、その人たちを動かしながら自分も動く、みたいな経験値を得るところは、スタートアップ支援という枠組みの中でも足りていない部分かもしれない。


私がBRAVEを始めた時は、まず参加者に起業に必要な知識を共有して、最後にピッチして優勝した方には資金を提供し、その資金を活用して事業化を後押しするというコンセプトで始めたけど、7年やってみて思うのは、(BRAVEはとりわけ創業前後を支援するからだけど)「信頼できる本当の仲間を見つけて実行する」という機会は、単純だけど、とても重要だと思います。

今年のBRAVEは過去最大規模で開催

伊藤:2023年度は、最大50の研究シーズを採択するんだよね。これまでは10くらいだったかな。

津田:はい、過去最大です。その分、ほかのベンチャーキャピタルさんにも協力いただき、約30名のキャピタリストの方がメンターとして参画してくれます。

BNVは、ディープテックエコシステムそのものを底上げするために活動をするエコシステム部門というのがあって、BRAVEはその管轄なんです。BRAVEの目標としては、やはりディープテックスタートアップのユニコーンを輩出する日本最大規模のプログラムになりたい。そのためには、シンプルに支援する研究者の母数を増やすべきだし、そこに関わる投資家も増やしたい。業界全体で研究シーズの事業化を支援する仕組みを作っていきたいと考えています。

「最強のディープテックコミュニティ」も作りたい

津田:プログラム期間中はネットワーキングにもなるような企画も実施します。「信頼関係のあるさまざまな人の繋がりの中で機会を掴んでいく」というのが、成長にはかなり重要な要素なんです。本来はクローズドな人間関係の中だけで完結される機会なのですが、BRAVEに入れば、ディープテックに関わる人たちの良質なコミュニティに入れる、という要素も確立していきたいんです。

今年はそのコミュニティ強化に向けて色々と企画を考えています。例えば10月には「BRAVEホームカミングデー」を実施する予定です。卒業生125チームをはじめ、メンターとして一度でもかかわってくださった方、大学や自治体の関係者、そして今年の参加者が集まって、テーマ別に少人数チームで交流できる場を設けています。

ワンウェイではなく、何かテーマを持ってる人と、それを聞きたい人が交流して学び合うような、より双方向のコミュニケーションを図れる場を企画しています。

来てほしいのは、熱量高い人

伊藤:やはり情熱は一番大事で、そこが原動力になるのは間違いないと思うので、コアとなる技術をお持ちで、それを社会に実装したいという熱い想いを持った方に、エントリーしてほしいです。

BRAVEに応募しようか迷っている方の中には、「ベンチャーキャピタルから資金調達して、すごいスケールするようなビジネスを描かないといけない」みたいに思って躊躇される研究者の方もいるかもしれませんが、事業計画はどんどん進化・変化していくものなので、練り込まれていなくても大丈夫です。

津田:個人的には、「ぶっ飛んだ人」に来てほしいです。型にはまらないというか。研究のことでも、事業化のことでも、初見でいきなりは追いつけないくらいスゴイことを考えている研究者の方と出会いたいです。

伊藤も言った通り、エントリー段階から完成度は求めていないので、「将来自分の技術によって社会がこうなってほしい」と熱く思っている人ほど、BRAVEに向いていると思っています。「プログラムを受講する」ことが目的ではなく、仲間と事業を創っていくことが目的なので、荒削りな状態でも、どんどんご応募いただけたらと思います。

世界へのゲートウェイに必ずなる。BRAVEに参加するなら、今

伊藤:BRAVEの長期目標としては、海外展開や海外投資家からの資金調達の支援にまで拡充して、世界展開に向けた入り口になることです。これは毎年の採択者のみならず、過去卒業生の方にも提供していく方針なので、いまのうちにBRAVEに参加してください。

津田:起業家の周りには起業家が多いとよく言われますが、「挑戦している人の近くにいることが、自分自身が挑戦するきっかけになる」というのが社会的機能としてより充実していくはずなので、BRAVEに参加した人たちは、より良いチャレンジの機会とか、より成功に繋がるようなネットワークとか知見とか、そういったものをかなり得られると思っています。

高みを目指したい方とご一緒できることを、楽しみにしております!

BRAVE2023のエントリー締切は8/25(金)

2016年から開催し、これまで125チーム(起業前81)が参加しました。卒業生の累計資金調達は400億円以上、経営人材400名以上をマッチングしてきました。そして、BRAVE卒業後に起業を実現した数は52社にのぼります。大きな未来を目指して、BRAVEというフィールドで創業初期を加速させましょう。全国の実用化を目指す研究者の方からのエントリーをお待ちしています!
BRAVE公式ページ:
https://beyondnextventures.com/jp/incubation/brave/

Beyond Next Ventures

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