研究者の起業を後押しするディープテック創業プログラム「BRAVE」とは

津田:私たちBeyond Next Venturesは、研究開発型スタートアップの創業前から並走するVC・アクセラレーターです。2016年に誕生した「BRAVE」は、「自身の研究開発シーズで世界を変えたい」と強い想いを持つ研究者に対して、スタートアップ起業を後押しするアクセラレーションプログラムです。応募いただくテーマは、創薬技術から新しい食料品の開発、新しい医療機器の開発などさまざまです。

  1. 【BRAVEについて】
    全国の大学・支援機関と連携した研究開発シーズの事業化スキームの構築、革新的な研究成果をもつ研究者の大学発スタートアップ創業・資金調達・事業展開・海外進出までを一気通貫で後押しするカンパニークリエーションプログラム。BRAVE公式サイト:https://beyondnextventures.com/jp/incubation/brave/

これまで120チームがBRAVEに参加し、卒業生の累計資金調達額は250億円以上。彼らを後押しする多くの専門家やメンター、累計50社を超えるパートナー・サポーター企業の皆様にもご協力いただきながら、より価値の大きいプログラムになるよう、毎年少しずつ進化させてきました。

今回は、BRAVEの取り組みや今後どのように研究者・スタートアップに貢献していくことを考えているのか、共有できればと思います。

大学や企業の研究成果が社会で活かされ、研究資金が循環する流れを作りたい

日本では、大学の研究費として毎年3.5兆円ほどが投資されています。大学の研究成果が産業として実用化されれば、大学にはライセンスフィー、ロイヤリティー(権利金)が支払われることになりますが、その額は年間わずか20億円程度にとどまっています。

参考:経済産業省「日本と海外主要国の研究開発活動」

参考:文部科学省「平成26年度 大学等における産学連携等実施状況について」

もちろん大学への投資で重要なのは経済的な見返りだけではありません。実用化研究の基礎となる基礎研究や必ずしもビジネスに直結しないアカデミックな研究成果を生み出すことは大学の社会的な重要な役割であり、すべての研究者が実用化を目指すべきだとは考えていません。また、そのアカデミアの経験を糧に人材が育つことには金銭に換算できない価値が生み出される側面もあります。

とはいえ、多額の資金が投入されていながらリターンが20億円しかないという現状は、もっと改善できる余地があると考えています。また、実用化によって生まれる新産業が日本全体、ひいては世界をより良いものにする可能性を秘めていると考えています。

私たちは、この社会的な課題解決に真正面から取り組み、事業化を目指す大学や企業の研究プロジェクトに資金を集め、社会に還元する「産学連携」の流れを積極的に作っていきたいと考えています。その一環として始動したのが、BRAVEです。

研究者の起業には、「知識」と「ネットワーク」が必要

スタートアップを起業する上では「どのような社会課題の解決を目指すのか」という観点がとても重要です。研究開発と並行して、社会課題とうまく連結させた持続可能なビジネスモデルの構築にも取り組む必要があります。

そもそも起業を通じて何を成し遂げたいか。それに伴うリスクは何で、どのようにコントロールしできるのか。リスクを覚悟して前へ進むために求められるものは何か。起業になかなか踏み出せない研究者であっても、正しい知識と事業化を後押しするネットワークがあれば、一歩踏み出して起業家へと成長することができるはずです。

BRAVEでは、事業化を希望する研究者と、ビジネス人材、メンター、専門家をマッチングして強いビジネスチームの組成を行い、事業化に向けた実践的な活動を行っています。

1. 経営者候補人材とのマッチング

順調に立ち上がっている研究開発型スタートアップの傾向として多いのが、技術面を推進する研究者と、経営面を推進するビジネス経験豊富なビジネスパーソンが共同創業で始めるケースです。

BRAVEでは、プログラム開始時に創業仲間を求める研究者と経営者候補となるビジネスパーソンが出会う場を設け、弊社が仲介役となり、お互いの相性を見定めながらマッチングを行います。将来の創業メンバーと出会えるのは、他のアクセラレーションプログラムにはないBRAVEの大きな特徴で、これまでに30名以上の共同創業者が生まれています。

2. 事業計画のブラッシュアップ

事業を立ち上げるには、活動指針となる計画をベースに対外的な信頼を獲得し、資金や機会を獲得していく必要があります。チーム組成後は、弊社のキャピタリストと複数の専門家のメンタリングを通じて、事業計画のブラッシュアップを行います。市場リサーチ、顧客ヒアリングをはじめ、あらゆる観点でより確度の高い計画を仕上げていきます。また、プログラム最後のピッチ大会に向けて、専門家や起業家の前でプレゼンの練習も行います。

3. 起業の実践的な知識

スタートアップ創業者、各領域のビジネス経験者、知財・法務の専門家などのプロフェッショナル講師陣による、起業に向けたマインドセット、資金調達、資本政策・事業計画の作り方、知財、法務などスタートアップの立ち上げに必要な知識について講義が行われます。過去には、株式会社ACCESS共同創業者の鎌田富久氏、東京大学発ベンチャーのペプチドリームを創業された菅裕明氏、スタートアップの知財戦略の専門家として著名な鮫島正洋氏などにご登壇いただきました。

4. 資金・事業推進におけるサポート

プログラム最後のピッチ大会で上位に入賞されたチームには、事業化を加速するための賞金、JST STARTプログラムへの推薦、当社からの出資機会(※互いの合意が得られた場合のみ)などが授与されます。また、人材採用、メディアへの露出、パートナー企業(事業会社)とのネットワーク構築などの機会も得られます。

このように、BRAVEでは研究者/起業家がスタートアップとして走り出せるよう、様々な方と協業しながら、年に1~2度のプログラムを通じて、起業ノウハウや人脈などビジネスのスタートに必要な要素を提供しています。

2022年から‘Company Creation’を掲げ、コミットメントを強化

BRAVE卒業生の成長を俯瞰してみると、顧客の課題に向き合ってビジネスを設計し、高い目線感を持って投資家を巻き込むことのできる研究者や創業チームがより多くの機会を得ていることが分かってきました。

そこで、2022年度のBRAVEでは、研究シーズのポテンシャルをより最大化して、社会的インパクトの大きなビジネスを構築するために、「Company Creation」をメインテーマに据え、事業ステージ・目的毎に特化した3つのプログラムを展開することで、 研究開発型スタートアップの立ち上げから海外展開までを一気通貫で伴走支援しています。

当社のキャピタリストも、これまで以上に各研究開発シーズのポテンシャルを引き出す事業構築に挑むべく、運営側とプログラム参加者という立ち位置ではなく、異なるスキルセットをもつパートナーとして、世界で勝ち抜いていけるスタートアップを一緒に創ることを目指しています。

スタートアップ起業を通じて研究成果の社会実装を目指す研究者の一助となりたい

大学等の研究成果を社会実装しながら、大きな社会課題を解決するスタートアップが増えていくことで、必ず世の中をより良くしていけると私たちは信じています。一方で、今までと違うことにチャレンジするには、経験も知恵も勇気も必要です。それを全力でサポートすることが、私たちの、そしてBRAVEの役割です。

これまで7回の開催を通じて、参加者の方からも嬉しいお声を頂いています。

“自分自身がイノベーションを起こす一員になりたいと、より強く感じさせてくれる出会い、知識、機会を多く与えて頂いた。”
“今までチームにいなかった属性の方に参加していただくことができ、資金計画や市場規模など手薄だった部分を強化することができた。”
“事業化は絶対に行い、市場を創出した上で、先駆者、絶対的な強者として君臨したいと思います。先ずはJSTのSTARTを勝ち取ることを目標に進めたいと思います。”

“次” を超える人と共に、私たちも挑戦するーー。BRAVEは、Beyond Next Ventures自身の挑戦でもあります。

アクセラレーションプログラムが日本に上陸して約10年ですが、次の5年を見据えると、日本国内における研究開発型スタートアップ創業のロールモデルをつくっていきたいと考えています。我々も試行錯誤しながら、日本の環境に一番適したスタートアップ支援の仕組みづくりに取り組んでいきます。

最後に

Beyond Next Venturesでは、研究成果の実用化を目指す研究者の皆様を後押ししています。すぐに資金調達には結びつかずとも、創業前や事業アイデアの壁打ちの段階から、ぜひ我々に気軽にコンタクトしてください。
https://beyondnextventures.com/jp/contact/01

Masashi Tsuda

Masashi Tsuda

Manager