その手に新規事業創出の体験と歓びを。答えを外の世界に掴みにいく。

鷺山:近年、大手企業の事業創造活動が活発化しています。相次ぐCVCの設立、オープンイノベーション部署の設立、社内起業家育成の取り組み等、「新しい価値を生み出す」部門への投資が加速しています。

CVCや本体出資を通じたスタートアップ出資・連携と共に、自社の内から新規事業を創出する「社内起業」や「カーブアウト」という単語もよく目にするようになってきました。

当社では、2020年より「社内起業家のまなび場」というコミュニティ型イベントを開催しており、累計200人以上の社内起業家・社内起業家を目指す方がご参加されています。

実際に彼らと話をすると、多くの方が「新規事業の打席に立つことができない」という悩みを抱えており、背景には「新規事業やオープンイノベーションにそれほど積極的ではない」という会社の事情や、「該当部門はあるもののすぐに異動できない」等の理由もあるようです。

同時に、もう1つの大きな課題感として、「新規事業経験への渇望」があります。既に新規事業を担当されている方でも、実は本当の事業立ち上げを経験されたことがない方も多くおられる。また、そのポジションを将来目指す方たちも、新規事業立ち上げの中で、どう貢献できるのかイメージが十分についていないのです。

当然ながら、企業は既存事業なくして成り立たないので、新規事業の経験ばかりを社内で提供することは難しい。しかしその一方で、新規事業部署に配属が適った一部の方だけが新規事業のことを考えるべきか、またそのノウハウを持っている状況で、一定の「数」が質を担保する新規事業の領域で大きな花を割かせることができるのか、これは悩ましいテーマです。

どうしたら打席に立てるのか?

実はこのテーマは、まさに先日の「社内起業家のまなび場 Vol.5」イベントで取り上げました。

会社自体が新規事業に積極的であることを前提にすれば、ベースとなる社内での信用を積み重ね、それに加えて、白羽の矢が立つような異能・異質な体験を一つ磨いておくこと。

それは、何かのチャンピオンでいなければならないという話ではなく、社内メンバーが持っていない事業、そしてヒト・カネ・チエに関する体験を持っているかどうか、です。

その体験を社内で得ることができなければ、「社外での経験」をどう自身に取り込んでいくかが重要です。今は副業やプロボノなど外部と関わる選択肢が増えています。自ら社外のプロジェクトに飛び込み、会社も認めるような結果を出すことが、社内で「新しいこと」を任される一つの大きな要因となり得ます。

社外での活動は社内にない知見や異質なヒトのつながりを構築できる、すなわち他のメンバーが持ちえないリソースを持つことができるため、差別化の一つとなります。

さらに、社外経験によって得られる最大のメリットは「自分への自信」です。異なる環境でも社内と同等またはそれ以上の実力や成果を発揮できれば、「自分はどんな状況でも通用する」ということを確信させてくれます。

では、社外での活動はどのように見つけたらよいのでしょうか?いざ学びにいこう!と思った時に、「とはいえうちは副業の壁は高い」「新しいことを得たいけど経験がない。自分で本当にできるの?」という自己実現を阻む新しい壁が現れます。

前者は副業以外の手法も今は増えています。後者は、案ずることだけでは答えは導かれません。軽く会釈をして隣を通り抜けていきましょう。

新規事業立ち上げの本当の姿を見るには

社内起業家として、どうしたら「新しい事業を生み出し、その事業を伸ばせる人材」になれるのでしょうか。そして、そのためにはどのような学びが必要なのでしょうか。

ふとこのことを考えた時に思い浮かぶのは、【身の回りの起業家たち】のことです。特に若手の起業家は、業界の専門性はそこまで高くなく、多くの場合は経営のプロでもありません。

しかし、スタートアップ起業家は目標達成への熱量と自分ゴト感は人一倍と言わず、二倍・三倍強いまさにリーダー自身が強いコミットをもっており、そこに共感した仲間が数名集まって、極めて少人数チームであったとしても有機的に事業を推し進める強さがあります。

私は、その起業家の姿を近くで見て、共に働いてみる経験こそが、ご自身が新規事業を立ち上げる際に一番役立つのではないか、と考えています。

もちろん副業で関わるのもよいですし、それが適わなければ友人知人を介して、特に15名程度の若いフェーズのスタートアップに関わると顕著に感じる違いがあると思います。もし所属企業でスタートアップ出向制度があれば、それを通じて1年ほど出向すると、自身の仕事の仕方やカルチャーが変わったことを体感できるはずです。
※当社の出資先スタートアップでも出向を受け入れておりますので、ご興味がありましたらお問合せください。

1→10(イチジュウ)に全力ダイブできる特別な体験

経産省の取り組みで、大企業に所属するビジネスパーソンにスタートアップで働く体験をしていただくことで、双方の成長を応援しようという取り組みがあります。「スタートアップチャレンジ推進補助金」、通称スタチャレという制度です。

私たちは、将来の社内起業家、カーブアウト起業家、そして時に大手企業を卒業してスタートアップ起業や経営に進まれる方のために、このスタチャレ制度を活用して、リスクフリーでスタートアップの事業立ち上げ(1→10)に取り組めるプログラム「ILP1→10 TRIAL」を新たにスタートいたしました。


副業ではない、そして座学でもない、自身のキャリア開発の場であり、自身や社会の中で最も新しく刺激的な出会いの場としてこのプログラムを提供します。

過去400名あまりにスタートアップ共同創業者としての体験と機会を提供してきた、INNOVATION LEADERS PROGRAM(ILP)の新シリーズとして、創業して間もないスタートアップの事業参入の壁に、仕事の傍ら1.5か月間挑んでいただきます。

ここで応援に入るスタートアップは初期フェーズ。だからこそ、超専門家ではなくても、気持ちと熱意で応援できるプロジェクトもあります。

仕事ではなく、本当に自分が触れたい・応援したいものを社会に届ける活動は、今の会社では得られない新しい価値観をあなたにもたらしてくれることでしょう。

通常の仕事の中では触れられない、先端研究をベースとした、新しい事業だからこそ答えがなく、最高難度の挑戦に、会社を辞めることなく取り組むことができます。恐らく、ここに集う仲間たちとの出会いも価値あるものになることでしょう。

一歩外に踏み出したからこそ見える世界に、あなたの答えが見つかるかもしれません。
お会いできることを楽しみにしております。

Shota Sagiyama

Shota Sagiyama

Executive Officer / Talent Partner