戦略コンサルタントから起業・経営参画、ベイン卒業生3名の選択

今回は、戦略系コンサルティングファームの中でも、トップティアに位置する Bain & Companyを入社2~3年で卒業し、起業・アーリーステージのスタートアップ経営の道に進まれた3名と共にディスカッションを行いました。

挑戦の背景、そして”経営に立つ”ためのKey factorとは?

スタートアップ起業や経営参画を考えている現戦略コンサルの方、ポスト戦略コンサルの皆様にお届けしたい内容です。

登壇者

株式会社FLUX
代表取締役社長

永井 元治 氏

慶応義塾大学法学部法律学科卒。 米系戦略コンサルティング会社にて、大手通信キャリアの戦略立案・投資ファンドのデューデリジェンス・商社のM&A 案件などに従事。 その後2018年5月に株式会社FLUXを創業。マーケティング効率化 SaaS「AutoStream」及び「siteflow」を展開している。

クレジットエンジン株式会社
取締役COO

新色 顕一郎 氏

三菱東京UFJ銀行(現三菱UFJ銀行)にて中小・大企業向け融資営業、ストラクチャードファイナンス、営業企画業務等に従事し、その後London Business SchoolにMBA留学(2017年卒)。留学中は医療系大学発スタートアップでのファンドレイズ支援や、FinTechカンファレンス委員、NPO向けコンサルティング等で活動。卒業後にBain and Companyに参画し、製造業を中心とした戦略プロジェクトやNPO向けプロボノなどを経験。2020年1月クレジットエンジン入社後、事業開発及びファイナンス業務等を担当。現在取締役COO。

株式会社Revie
代表取締役CEO

中沢 弘樹 氏

東京大学大学院工学系研究科電気系工学修了。2019年に新卒でベインにジョインし、大手金融企業の戦略立案・デューデリジェンスなどに従事。2021年7月に株式会社Revieを創業し、マーケティングSaaS「ReviewBank」を展開。

モデレーター

Beyond Next Ventures株式会社
執行役員 Head of HR Support

鷺山 昌多

テック領域のアクセラレーターBeyond Next Venturesにおいて次世代経営者の発掘・育成を担当。Innovation Leaders Programは、これまでに300名以上の参加者を数え、多くの起業家・経営者を輩出しています。

コンサルタントから経営の道に進んだきっかけ

鷺山:ベインから起業・経営の道に進まれたきっかけを教えてください。

永井:ベインには3年弱在籍して、2018年にFLUXというマーケティングSaaSの会社を創業しました。正社員メンバーは70名、業務委託等々を含めて114名の規模です。創業したきっかけは、私とCBDOの平田が中学の同級生で、彼が主にデジタルマーケに詳しいので、プロダクト領域を見ていた私が全社の戦略を見るというフォーメーションです。

新色: 私はCreditEngineというFintechスタートアップのCOO、副業で京都市のアドバイザーをやっております。メガバンクで7年ほど法人営業をやり、そこからLondon Business Schoolに留学し、その後ベインに拾っていただきました。ベインでは2年半ほど製造業の経営戦略策定やロイヤリティ改善戦略などに携わっていました。元々MBA留学時からスタートアップに行きたいと思っており、ご縁あって今の会社に入社後、一年ほどファイナンスや事業開発を担当した後にCOOになりました。私は創業者ではなく途中からなので、創業者とは違った観点でお話できるかと思います。

中沢:私は、ベインでは10件以上のプロジェクトを担当し2年弱働きました。その後、起業アイデアを考えるために半年間無職期間を過ごし、2021年に株式会社Revieを創業しました。現在はマーケティングSaasの「ReviewBank」を提供しています。具体的には今まで獲得したお客様のレビューを収集し、裏側で管理し、自社のサイトに表示することをサポートするReviewWidgetを提供しています。

ベインアンドカンパニーへの入社背景

鷺山:元々皆さんコンサルに入る前から起業を考えていたということですが、 ベインへの主な入社目的は何でしょうか?

中沢:ビジネスサイドの力をつけたいというのが一番の目的でした。できるだけ早く自分一人で経営を考えられるようにと、戦略を実行できるように常に考えていました。そのためベイン1年目の終わりからフリーコンサルタントとして副業で週末コンサルをしていました。中小企業の新規事業立案と、スタートアップのファイナンスのお手伝いです。

新色:私のベイン入社理由は、銀行やMBAを経験しましたが、まだ修行が足りないと思ったからです。その時の仮説は、「経営全般に役立つGeneralなスキルが一番はやいスピードで身につきそう、守備範囲が広そう」というもので、実際それは期待通りでした。特に、ロジカルシンキングの基礎をとても鍛えて頂いた認識で、今外に出るとものすごく役に立っています。

永井:私は、すごく当たり前のことなんですが、ベインどうこうではなく、まずは社会に出る、企業に勤めることを経験としてやってみたいと思いました。その中でコンサルを選んだ理由は、選択肢が広がると思ったからです。私はSAC(Senior Associate Consultant)なったら辞めようと決めており、実際にSACになったときに「起業しようか、ベンチャーキャピタルにいこうか」と考えまして、結果的に起業しました。

起業・経営参画のタイミングの決め方

鷺山:起業や経営参画の「タイミング」については、どう設計されましたか?もっと早ければよかったなどありますか?

永井:私の場合は確固たる事業プランやアイデアがない状態でSACになった時点でベインを辞めたので、少し見切り発車だったと思います。一概には言えないですが、最初からスケーラブルなビジネスを目指して、初期フェーズから大きく資金調達するようなプレイスタイルを取ろうとすると、それなりに人脈やビジネス経験があったほうが良いと思います。

新色:結論ちょうどよかったと思います。銀行・MBA・ベインで積み上げたものの総力戦で「今やっと」という感じです。ただ、ベインに入社するときに、35歳までに次のベットするところを決めようと考えていました。だから腕試しで副業もしていましたし、ベインではけちょんけちょんに言われても外に出ると「案外使い物になるな」という手応えもあり、決断できました。

中沢:私もちょうどよかったと思います。元々ベインではビジネスを自分の中で理解すること、そしてスキルを持つことを重要視していました。何年コンサルやっても経営できるかというとそうではないと思うので、自分の中で納得できたタイミングで辞めました。

鷺山:中沢さんも新色さんもすごくお忙しい中で戦略的に副業して外部での経験を積んでいる点はすごいですね。

途中経営参画のハードルと乗り越え方、企業選びのポイント

新色:途中から入って経営に携わるというのは、やる側も受け入れる側もそれなりに抵抗があるのは事実です。なので、「自分が加わることでプラスになる」という認識をまずは社内でつくるのが重要かもしれません。

私の場合、最初のQuick Win(初期段階の成功実績)は資金調達でしたが、幸いにも入社前から「最初の半年でこれをやろう」と描けていたのが大きかったです。そこで「この人なら大丈夫だ」と思ってもらえた感覚があります。

鷺山:ポイントとしては「自分の成果として早めに認められそうなものを作っておく」ですね。新色さんとしてはベンチャーファイナンスは初めてでしたよね?

新色:銀行やベインでの経験で、基本的な財務分析や融資経験はありましたが、いわゆるエクイティファイナンスは初めてでした。でもスタートアップに参画する以上、経験してきたことを元に新しい領域に挑戦するしかないと思います。そのために、いかに汎用性が効く領域を持っているかが重要だと思います。そういう観点でも、ベインで学んだことは非常に守備範囲や汎用性が高いと感じています。

鷺山:合わせて、「どういうスタートアップに参画すべきか」。という質問も来ています。ここは悩む方が多いと思いますが、会社を選ぶ基準、一番の決め手は何だったでしょうか?

新色:「ステージ」「事業領域」「人のFit感」の3つが基準でした。1つ目のステージについては、横断的かつ包括的に業務に携わりたい場合は、20人、MAX30人規模のアーリーステージがいいと考えました。2つ目の事業領域は、「顧客のペインが分かるか」、「自分が次の日からモノを売れるか」、という観点で見ていました。そういう意味では、今携わっている事業領域は、銀行のときに何となく関わっていたので、割とスムーズに移行できたと思います。

3つ目が一番大きい要素で、「人」です。色々な考え方はあると思いますが、個人的には直接的に関わる人は、ケミストリーが近いほうがいいと思います。僕が一番やり取りするのは社長ですが、経営者の方は左脳型と右脳型がいて、特に起業家の方はどちらかに“振り切っている”方が多いと思います。今までの経験から、自分は左脳型で話が通じる方がFitが合うと思っていました。その仮設を素に、何回か飲んだり、色んな人にレファレンスをとりながら仮説を深めていき、最後にベットしました。

鷺山:行く先の選択肢が多い中で、本当にピタッとはまった感じがあったのでしょうか?

新色:情報収集は積極的にするようにしていました。気になるところがあったら、自分で足を運んで、直接会って…のような行動をとるといいのかなと思います。Fit感を最初に確認することは本当に大事だと思います。

起業・経営をする上で最も苦労したこと

鷺山:起業を選択されたお二人に伺います。経営とコンサルワークの違いは当然あると思いますが、一番苦労している点はなんですか?

中沢:一番苦労したのは「人」です。コンサルは先にリソースが与えられ、チームが組成され、課題や論点も設定されていますが、経営者はそもそもリソースを自分で取りに行かなければならないのが大変です。特に、自分1人から2人にするときはすごく苦労しましたが、実際に人が入ったときの嬉しさはひとしおでした。

永井:コンサル経験で一番役に立っていることは、学び続けること。ラーニングの力です。スタートアップは組織フェーズもすごい勢いで変わっていくので、自分の成長速度が常に会社の成長速度より上回っていないと、経営者としていられないと。常に逆算してどういう成長カーブを描くべきかを突き詰めて考えるというスキルが最も役立っています。

鷺山:どうやって高速にラーニングするのかに対してTIPSがあればぜひ教えてください。メンターがおられますか?

永井:自分よりフェーズが先に進んでいる経営者の方をベンチマークして、お話を伺います。直面する課題は似通っていることが多いので、自分の組織に当てはめて考えたりします。

鷺山:そういった方はどういったご縁の方なんですか?

永井:学生時代の先輩やスタートアップを始めてから知り合った方とか、VCにご紹介いただいた方など様々ですが、プロフェッショナルファーム出身の方が多いと思います。物事の学び方や、マーケットを見る観点が近いです。

中沢:私はまだそれほどメンターはいませんが、それこそ永井さんとは定期的に壁打ちしています。やはり、先輩の経営者で自分より先に行っている方は、自分が悩んでいることもすでに悩んでいて、自分で考えて解決してきたプロセスを踏んでいる人が多いので、いいアドバイスをもらえることが多いです。

組織カルチャーのつくりかた

鷺山:次に経営者のお二人に質問です。組織のカルチャーを醸成させるために何をしていますか?

中沢:スタートアップ的ですが、ちょうど一週間前に合宿をしました。うちはエンジニアがフルリモートで、大阪2人、仙台1人、埼玉1人、東京に1人、あと私という形なので、対面でのコミュニケーションがあまりなく。合宿では、実際に会って話すと面白いなとか、違う側面が出てきたので非常に良かったと思います。

永井:私は徹底的にカルチャーベースでやっています。我々の組織は業務委託も含めて辞めている方が非常に少ないのと、社員向けのeNPS(職場の推奨度の数値化)をやっても非常に高い値をつけていただいています。

実践していることは2つあって、まずはエントリーです。採用面接でカルチャーとバリューにフィットしているかを見極めまくります。カルチャーを定性的かつ定量的に評価する方法もあるので、面接の中で評価させていただいて、うちの組織にフィットするか否かを見極めさせていただいています。

2つ目は、弊社ではメインの評価軸が「バリュー」です。KPIや営業成績もありますが、メインはバリューでスコアリングし、昇格やボーナスが決まります。P&Gさんも同じような形だと思いますが、入社後もバリューを意識せざるを得ないような環境を作っています。我々の会社の成長に合わせてその方自身も成長して、お互いが成長できることを重要視しています。

グローバルスタートアップを創るには?

永井:一番必要なことは、アメリカやイギリスとかで起業することかなと思います。海外のスタートアップの最先端の地で、最初からグローバルなチームで、最初からグローバルなマーケットを狙って行く必要があると思います。
鷺山:なるほど。私も最近お話をした方で、即Yコンにエントリーして、海外のVCから資金を引っ張り、仲間も海外で見つける予定の方と出会いました。やろうと思えばできるということを普通にやる方が増えてきたように思います。

中沢:永井さんと同じで、最初からグローバルを目指すかどうかに尽きると思います。現在はフラットな世界なので日本でうまくいった場合、海外ですぐ真似されてしまう。そのときに日本からアメリカでより大きな規模で作って展開するというスピード感だと負けてしまうと思います。日本は幸か不幸か、単体である程度マーケットサイズがあるので、日本で始めるという選択肢になりやすいですが、そうではなく最初からグローバルに戦略を立ててやっていく必要があると思います。

新色:弊社はちょうど海外展開を考え始めたところですね。ここは、マーケット(売り先)として捉えるのか、オペレーションの一つとして捉えるのかでアプローチが変わってくると思います。

もちろん分野にもよるとは思いますが、マーケットの分散的観点からすると、日本だけではなく成長が早い海外を取り入れていかないと長期的視点だと、キツイなという考えはあるかと思います。ただスタートアップがいきなり単独で乗り込むのは厳しいので、例えば日本企業で既に同地域に参入している先を見つけて、そういった企業と連携することで広げていくチャンスは有るのではと考えています。

また、オペレーションの観点では開発の拠点を海外に設けるなどして、グローバルを取り込むことは欠かせないことだと思います。いずれにしても最初から完全に海外を外してしまうというのは、大きな成長を目指す上ではもったいないのかなと考えています。

最後にメッセージ

鷺山:これから起業や経営参画をしようという方に対してなにか一言いただいて最後の締めにしたいと思います。

中沢:起業はそんなにハードルは高くないというのが一番伝えたいです。自分自身も、会社をやめて創業しましたが、コンサルを辞める前は非常にハードルが高い、自分にできるんだろうか、いいアイディアが出るのだろうかと悩んだのですが、やってみたら色んな人のサポートがありますし、意外とうまくいくと思います。また、自己資金が少なくてもスタートラインに立てるマーケットの環境ができています。なので思っているより起業のハードルは低いですしリスクも少ないと思うので、今迷っている方がいたら思い切って飛び込んでみてほしいです。

新色:途中から飛び込むという観点でのコメントになりますが、踏み入れると自分の想像以上に今までの経験が役に立つことが多いと思います。正直な話、私自身はコンサル時代は劣等生だった認識ですが、外に出ると予想以上にスキルや考え方が役に立ったりします。あとは興味があったら勇気を出して踏み込むことです。今はこれだけ人材の流動性が高まっているので「一度失敗したら人生終わり」ではなく、それを糧にして次に行けばいい話だと思います。

若干相反する話としては、ぜひ足を使って色々な企業を見に行ったほうがいいと思います。エージェント任せにせず、自分で疑問を持ったら会いに行く、社長の話を聞きにいってフィットを確認する、という泥臭い方法をとっているかどうかが、最終的な納得感や成功確率につながると、周りの話を聞いていても感じます。

永井:コンサルや経営企画のバックグラウンドを持っていらっしゃる方はどの段階のスタートアップでもご活躍できると思っています。アーリー、シード、ミドル、レイター、上場していたとしても活躍できます。レイターの会社や上場している会社の方からも、コンサルの知り合いを紹介してほしいとよく言われます。弊社にご興味持っていただけたら嬉しいですし、弊社でなくても他の方のご紹介もできるので気軽にコンタクトいただけたらと思います。

鷺山:気さくなメッセージありがとうございました。永井さん、新色さん、中沢さん、本当にありがとうございました。

Beyond Next Venturesでは、戦略コンサルタントからの起業支援・創業参画支援を行っています。もし、新しい挑戦の機会や繋がりを模索されている方がいましたら、ぜひ我々にコンタクトしてください。

Shota Sagiyama

Shota Sagiyama

Executive Officer, Head of HR Support