NEC Xのグローバル新規事業創出の仕組みづくりとは|社内起業家のまなび場 vol.2

本記事は、2021年9月15日に行われたシリーズイベント「社内起業家の学び場」の第2回レポートです。

シリコンバレーで活動されているNEC X President 兼 CEOの井原さんと当社キャピタリスト金丸によるパネルディスカッションの内容の一部をお届けします。

井原 成人

NEC X, Inc. President and CEO
2019年4月より現職。NECの技術を活用した新事業開発を推進するとともに、NEC Xのコーポレートインキュベーションポートフォリオの管理を担う。NECの研究所とシリコンバレースタートアップエコシステムをつなぎ、オープンイノベーションによる新たな技術アセットの収益化モデルの確立を目指す。前職では、NEC中央研究所の研究企画本部長として中期研究開発戦略の立案・マネジメントを手掛け、NECの先端技術による社会価値創造を推進した。

パネルディスカッション

NEC X設立の背景と役割

NEC Xが設立されたのは3年ほど前になりますが、私は当時研究所の企画部門に所属し、そこからNEC Xの設立に携わっておりました。2年と少し前にNEC XのCEOにアサインされ、今に至ります。

NEC全体では、下記の図のように、オープンイノベーションに関わるいくつかの新規事業開発機能があり、NEC Xはその一つのスレッドです。NEC Xのミッションは、NECの先端技術を核として、オープンイノベーションを活用し新しい事業を創ること。それにふさわしい場所として、シリコンバレーを選びました。

なぜここまでの体制を敷いてスタートしたかについては、以降は私の理解であります。

NECは、総合電機メーカーで、かつては家電、半導体、パソコン、携帯電話等々、多方面に展開してきましたが、現在は社会のインフラソリューションにシフトしたビジネス展開をしています。

一方で、NECの研究所・技術開発陣が持っているアセットは、コンピューター、ネットワーク、セキュリティ等でありまして、BtoB・BtoG以外の事業領域で貢献する可能性がある。その研究所のアセットを、新しい事業につなげるという期待を担って、NEC Xの設立に至ったものと考えています。

NEC Xの活動とは?

我々は、“アウトバウンド型オープンイノベーション”と言っておりますが、NECの持っている技術をてこに、外部の知見やリソースを巻き込みながらビジネスを創る活動です。

NEC Xが、研究所も含めた先端技術をリクルートし、その可能性を見極め、シーズをシリコンバレーに持ち込む。それに対して興味を持っていただけるアントレプレナーと、サポートいただけるアクセラレーターや投資家と共に事業を創っていきます。

シーズによっては、NECの内部で事業化するケースもありますし、外部でスタートアップとして事業にしていくことも出口の選択肢に入ります。後者の場合は、NECが100%を抱えるのではなく、外部投資家とリスクとリターンをシェアして進めていきます。

事業創出を担うプレイヤーとパートナー

シーズの事業化にあたって、図の中央の3人がコアなメンバーとなります。

1人目は、先端技術を担ってそれを事業にしていきたいという想いを持つ、グループ内の技術者・研究者。

2人目は、市場開拓して事業を立ち上げていく起業家。我々は“EIR”(Entrepreneur In Residence)と呼んでいます。シリコンバレーには、立ち上げたスタートアップを売却して次を探している方や、MBAを卒業して経営したい方もおり、そういう方に仲間になっていただいています。

3人目は、チームと一緒になって伴走していただけるメンターの方々。これは我々のメンバーが担当することもあれば、外部の方に協力いただくこともあります。

これらコアチーム以外にも多くの方が関わっていますが、非常に重要だと思っているのが、先端的な顧客である「アーリーアダプター」です。

新しい技術であっても、自身の事業の価値拡大に資するのであれば積極的に取り組んでいこうというお客様。この方々とタッグを組み、その声を頂きながら製品を磨いて事業に仕立てていく。このような共に創り上げることができる環境が育っています。

そのほかにも、デザインシンキングでお客様の視点からプロダクトやソリューションを設計するデザインリサーチャーなどもおり、都度ベストチームを組んで最短距離で事業化を目指しています。

NECアクセラレータープログラム(CAP)とは

我々のプログラムでは、NECの先端技術をリクルートするところから始めます。その次に、その技術を使ってビジネス化するアイディア・経験を持つ方々と共にワークショップやマッチングを行い、「行けそうだ」という感覚を持つことができれば、次の顧客発見のフェーズへ移行します。

最初こそ技術からスタートしていますが、この顧客発見のフェーズでは、技術やソリューションを売ることを考えるのではなく、ソリューションが解決する本当のお客様の課題は何であるかを議論し、それを元にシナリオを組みます。

2-3か月の間に100名ほどのお客様にヒアリングをし、顧客課題を明確にする。最終的には、それが解けるのであれば一緒に実験してもいいよ、という具体的なお客様を見つけるところまで事業仮説を検証していきます。

その次のステージとして、MVP(Minimum Viable Product)を作って実証実験を行い、お客様に実際にお使いいただき、そのお客様にとってのソリューションになるかを確認する。そこをクリアするとNECの中で事業化するスキームもあれば、外部でスタートアップ化する選択肢もある、というプログラム構成になっています。

アクセラレーター連携の価値とは?

金丸:今年北米大手のAlchemist Acceleratorとの業務提携をされたと思いますが、何を期待されたのでしょうか?

井原:Alchemist は、シリコンバレーでトップクラスである、Y Combinator500 Startupsに並ぶ存在です。彼らが持つアントレプレナーのネットワークやメンターシップ、投資家のネットワークには魅力があり、我々はそこに相乗りをさせていただいています。また、NECアクセラレータープログラム(CAP)の運営についても意見をもらったり伴走支援をいただいています。

事業を進めるEIR候補のネットワークもAlchemistは有しています。候補者のソーシング上は非常に有望です。一方で、我々自身がどういう方を選ぶかという視点も重要です。軸は我々自身がもって、Alchemistを活用するという意識で進めていかないといけないと考えています。

金丸:ありがとうございます。ネットワークの補完という意味では、大きな価値があるのですね。

最後に

私たちは、大手企業様と連携したR&Dからのカーブアウトベンチャーの創出も複数手掛けています。
東芝から初めてカーブアウトを実現したサイトロニクス株式会社に出資
Beyond Next Venturesとデンソー、医療IoT新会社「OPExPARK」を設立
エーザイ株式会社発のカーブアウト創薬ベンチャーである株式会社アークメディスンに追加出資

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事務局:hrsupport+intra@beyondnextventures.com

Shota Sagiyama

Shota Sagiyama

Executive Officer, Head of HR Support