【イベントレポート】スタートアップ・VC・成長ベンチャー企業でのキャリアとMBA

2016.04.23

Beyond Next Venturesは、2016年4月22日に、MBAホルダー兼 VC/start-up 経営者4名をお招きしてセミナーを開催しました。

本セミナーは4名のMBAホルダーの VC/start-up 経営者にご自身の体験を紹介して頂くことで、MBAホルダー/志望者の参加者がキャリア形成について理解を深めることを目的としています。

・日時: 2016/4/22 19:30–22:00
・場所 :EGG TOKYO(新丸ビル)
・主催 :日本ベンチャーキャピタル
・共催 :株式会社ミライセルフ
・協賛 :江戸義塾

スピーカー紹介

Draper Nexus マネージングディレクター:倉林陽氏 (Wharton ’09)

WealthNavi Founder&CEO :柴山和久氏 (INSEAD ’10)

OpenTable :武藤友木子氏(Columbia, LBS, HKU ’12)

Pashadelic Founder&CEO :山村健児氏(Hult’12)

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Draper Nexus 倉林陽氏

倉林氏は富士通、三井物産在籍時に、シリコンバレーでCVCの経験を積まれ、09年にウォートンスクール (米)を卒業されました。現在は、Draper Nexus の日本共同代表を務めておられます。

シリコンバレーで投資活動を行う中で、日米のベンチャーキャピタルの実力の格差に大きな危機感を覚え、ご自分の一生をベンチャー投資にBetしようと決意したと話されていました。また、毎日のようにInnovativeな技術/チームと接する中で、経営に関する知識の獲得や、同じような業界で活躍する世界中の優秀な人材と切磋琢磨する機会を求めてウォートンスクールへの入学を決めたとのことです。ちなみに、G-MAT対策予備校時代の友人が起こした会社に出資しており、その後首尾よくマザーズ上場を果たしたので、学費を社費扱いにしてもらったとのことです。

ウォートンスクールでの2 年間は非常にハードで、文字通り世界のTop Tear達と本気で向かい合う時間を過ごすことが出来たとのことです。そこで得られたものは、「世界を舞台に活躍する仲間との繋がり」に尽きると強調されていました。卒業から数年たった今でも、同級生と頻繁に連絡を取りあい、実際に取引に繋がったこともあるそうです。

WealthNavi 柴山和久氏

柴山氏は財務省入省後にハーバード大学ロースクール、HM TREASURYを経て、INSEAD(仏)に入学されました。その後、マッキンゼーを経て、WealthNavi を創業されました。

国家公務員出身ベンチャー経営者という異色のキャリアをお持ちの柴山氏ですが、一貫して「金融リスクを管理することで人々を幸せにする」ことに力を注いでこられたということです。マッキンゼー時代に数千億円の運用ポートフォリオを組む中で、金額の多寡は本質的な要素では無く、個人レベルの運用にノウハウが還元出来るはずとの思いから創業に至ったそうです。また、欧米では個人の資産運用でもファイナンシャルプランナーがサポートすることが一般的なの対して、日本ではサービスが不十分なために資産運用の水準が低いことも課題であるとおっしゃっていました。

当初は「事業を起こしたい」との思いが有ったわけでは無いそうです。しかし、ご自身の興味の向くことを追及され、偶然が積み重なることで結果的にここまで至ったと振り返っておられるのが印象的でした。MBAもロースクールもその過程であり、ある種の必然だったと述べられていました。MBA取得でキャリアアップするというよりも、何かを突き詰める過程で「繋がりのある」キャリアを積んで欲しいとアドバイスをされていました。

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OpenTable 武藤友木子氏

武藤氏はアクセンチュアに勤務後、友人達と起業した会社を楽天に売却。ハーバードビジネススクール(HBS,米)への留学に失敗。その後、Travelzooの日本法人の代表、APAC取締役、同法人韓国GMを歴任され、コロンビア大学(米), LBS(英), HKU(香)の三校が提供する E-MBA-Global Asia Program にてExecutive MBA(EMBA)を取得されました。その後、同社からカーブアウトする形でOpenTableの代表取締役に就任されました。

ご自身のことを、「かつては超ドメ子ちゃんだった」とおっしゃるほど、海外志向はお持ちで無かったとのことです。また、アクセンチュア勤務時に「頭でっかちMBAホルダー」のインターン生と過ごした経験から、MBA自体に良い印象を持っておられなかったそうです。しかし、楽天時代に三木谷社長の勧めで一度HBSを志望され、外資系企業の経営者として多国籍人材のマネジメントを行う中で、国際舞台で通用する英語力とファイナンスの習得が必須と実感され、仕事を辞めずに取得できるEMBAを選択されたそうです。外資系企業のおけるマネジメントでは、文化や風習の違いに苦労されることも多く、英語力が仕事の評価に直結し、日本人は正しくパフォーマンスが理解されないケースもあったそうです。

EMBAでは仕事と両立しながら、短期集中型のワークをこなしながた、国際色豊かなメンバーと競いあう時間が過ごせたとのことです。何よりも、知識面と語学力で海外勢に気後れしない自身が付いたことが収穫だと強調されていました。

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Pashadelic 山村健児氏

山村氏は大学卒業後、証券会社を経て、友人とウエディングギフトを手掛ける会社を設立されました。その後、ご自身の父親が出資する中国企業の事業再生を主導された後にHult(米)に入学されました。その後、Pashadelicを設立されました。

大学時代はアメフトに青春を燃やす、ザ・体育会系の熱血学生だったそうです。証券会社、ウエディングギフト会社時代を通じて営業成績は常にトップだったとのことです。しかしながら、「いつかは自分で会社を経営してみたい」との思いから、中国企業の再生に従事し経験を積まれました。その中で、根性やパワー以外の要素の重要性を感じたことでMBAの取得を決めたそうです。どうせ取るなら最速で、かつ、グローバルに戦える力を身に着けたいと考え、1年制で世界中に複数拠点を持つHultを選ばれたそうです。Hultは毎日が合宿のようなスケジュールで、猛烈に勉強されたと語っておられました。

MBAは確かに知識面や語学力で良い経験にはなるものの、それだけでは何の意味もないと強調されていました。あくまで、それまで培ってきた自分を加速させるブースター装置だと例えておられたのが印象的でした。

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パネルディスカッション

続いて、4名のスピーカーとミライセルフの司会進行スタッフによるパネルディスカッションが行われました。

司会:現在MBAを志望されている方にメッセージというか、アドバイスをお願いします。

倉林氏:とにかく自然体でいて欲しい。色んな可能性を模索出来る貴重な機会だから。僕も働くつもりは無かったけども、興味本位でゴールドマンサックスのインターンに参加した。数か月で倒れそうになり、寝ないで動ける人を尊敬した(笑)。

柴山氏:対外的な評価を気にしすぎないで欲しい。各々のビジネススクールの国際順位や、クラス内順位も気になるが、だからといって仕事がどうなる訳でもない。好きなことにフォーカスして欲しい。

武藤氏:アドバイスというか、こんなMBAは嫌だ、というところでお話ししますね(笑)。とにかく、頭でっかちにならないほうが良い。アンチMBAの経営者は結構多いので。

山村氏:MBAうんぬんよりも、先ず人として磨け。知識をひけらかす人がMBAとっても問題外。努力したのは分かるが、まずは己を成長させたほうが良い。

司会:それでは次に、会場から質問を頂ければと思います。挙手でお願いします。

MBAは高額な学費が掛かる上に、卒業後に起業となると金銭的に厳しくなると心配しています。何かアドバイスがあればお願いします。

倉林氏:前もって貯金しておくか、誰かに出してもらうよう頑張る。起業したらお金集めが社長の仕事なので、そういう意味でも頑張って。

柴山氏:ほぼ同じです。投資家に出してもらうか、貯めておくかだね。僕は卒業後にお金が無さ過ぎて、スタバで一杯のドリップコーヒーを妻とシェアしたけど(笑)

倉林氏:借金だと後々しんどいけど、エクイティなら共倒れても大丈夫だよ(笑)

MBAを振り返って良い経験になったことはありますか?

武藤氏:とてつもなくしんどかったけれど、物事を効率的に身に着ける経験が出来た。

山村氏:とことんやり切る経験が出来た。これは貴重な時間だった。

柴山氏:直接的に使えるレベルの知識は無かった。特にマッキンゼーでは。けれども、目標を立てて徹底して身に着ける訓練が出来た。

僕は今、Start-upで働いていて将来起業を考えています。MBAの過程で役に立つことはありますか?

倉林氏:正直、ビジネススクールでEntrepreneurshipを体系的に教えるのは困難。実践に限ると思う。知識面では多少は役に立つと思うけど。あと、履歴書にハクが付く効果はあると思う。

武藤氏:起業するといろんな分野の専門家と話すことになる。その時に、全ての分野の要素を持っているのは大きいと思う。

柴山氏:起業にはTechnologyとFinanceへの理解が欠かせないが、後者は身に付くと思う。

武藤氏:それに乗っかりますけど、やっぱり新米経営者と投資家の情報ギャップは大きくて、絶対に最初はいいようにやられるよね(笑)。知識と英語は重要(笑)。

倉林氏:確かに日本はそうかもしれないけど、米国ではSerial Entrepreneur が多いから、ギャップが小さくなりつつある。逆にVCも、人脈とか資金に加えて、そこをサポート出来ることが日本でのバリューの1つになっている。

司会:みなさんありがとうございます。今日の会が実りある結果になれば良いなと思います。

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