Beyond Next Ventures株式会社（本社：東京都中央区、代表取締役社長：伊藤毅、以下「当社」）は、この度ファーメランタ株式会社（本社：石川県野々市市、代表取締役CEO：柊崎庄吾、以下「ファーメランタ」）に新規出資を行いました。

ファーメランタについて

ファーメランタは、大腸菌ベースの植物由来成分の生産技術を有する、世界でも稀有な合成生物スタートアップです。独自の遺伝子導入法により、植物由来物質を生産する代謝経路を大腸菌で構築し、植物抽出法に代わる植物二次代謝産物の高効率生産を行います。

出資背景

拡大する合成生物学市場

植物独自の複雑な化合物（二次代謝産物）は植物からの抽出・精製を経て生産されています。それらは生理活性が高く、食品原料、化粧品原料、医薬品原料として活用され、米Ginkgo Bioworksや米Amyrisといった先駆的なグローバルスタートアップが合成生物学の技術を用いて微生物生産による代替を目指しています。社会的な潮流として、経済協力開発機構（OECD）をはじめ多くの国際会議でバイオ政策の議論が活発化し、スタートアップも多く台頭する中、日本でもバイオ生産技術の開発に多くの資金が投じられています。

高度な独自の技術

多くの合成生物スタートアップが酵母をはじめとした真核生物を利用するなか、ファーメランタの研究チームを率いる石川県立大学の南准教授と中川講師は、大量生産に強みをもつ大腸菌を利用した物質生産を長年検証してきました。

2008年には世界で初めて植物二次代謝産物であるアルカロイドを微生物で発酵生産することに成功し、その後も多くの研究成果を積み上げてきました。

2016年から2020年までは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構（NEDO）が推進する「スマートセル・プロジェクト」の採択を通じて基盤技術を確立してきました。その結果、ファーメランタは他社報告と比較し約6,000倍もの生産効率(※1)を実証しています。これにより、既存原料をより安価で提供できるとともに、植物抽出法では難しい安定供給、環境負荷低減が期待されます。

※1 アルカロイドのうち、1物質で記載の効率を達成

新たな経営体制を構築‐ 研究者とビジネスパーソンの共同創業が実現

ファーメランタの研究チームは事業化に向けて経営者を探しており、一方で現CEOの柊崎氏は創業参画する事業テーマを探していました。そこで、生物系特定産業技術研究支援センターが実施する「スタートアップ総合支援プログラム（SBIR支援）」を通じて、当社の有馬と鷺山による両者のマッチングと共同創業支援を経て、柊崎氏が正式にファーメランタのCEOとして参画することが決まり、事業化に向けて大きな足掛かりとなる新たな経営チームが発足されました。

＊当社では、有望な研究シーズを有する研究者と、事業テーマを探す未来の起業家が出会い、共にスタートアップの創業に取り組む機会を提供しています。ご興味のある方はこちらまでお問い合わせください。

ファーメランタのプレスリリース全文は、こちらからご確認ください。

担当キャピタリストよりコメント

有馬暁澄（パートナー）、矢藤慶悟
「この度、石川県立大学発スタートアップのファーメランタ社に投資できたことを嬉しく思います。合成生物学分野では米国を中心に大規模スタートアップが台頭している一方、コストの課題から既存産業の置き換えまで至っていないのが現状です。「ファーメランタ」という社名の由来でもある、同社の大腸菌をベースとした革新的な“発酵”技術は、植物由来物質の生産方法に革命を起こすと確信しています。同社が合成生物領域のグローバルカンパニーになれるよう、全力で支援してまいります。」

ファーメランタ株式会社 会社概要

Beyond Next Ventures株式会社 会社概要

世界に通ずるサイエンス/テクノロジーにより、マクロからミクロの人類課題を解決することを目指し、研究者や起業家と共に、大学や企業に眠る革新的な技術の社会実装に挑む独立系ベンチャーキャピタルです。累計220億円のファンドを運用し、リード投資家としてシード期から大学発ベンチャーやディープテックスタートアップを中心に出資を実行。さらに、研究成果の実用化を加速するインキュベーション活動や経営人材の育成、都心シェア型ウェットラボの運営など、VCの域を超えてディープテックエコシステムの構築に取り組んでいます。